要介護5認知症の母に行っているコグニサイズ

はじめに

運動が認知症に及ぼす良い影響は理解していても、実際に行うのは難しいものです。
どのような運動が効果的か、認知症の方が運動を行えるか、という疑問があります。
認知機能の低下により、認知症の方が自分で運動を行うことは困難です。
そこで、認知症のあらゆる段階の方に適用可能なコグニサイズの実施のヒントを提供します。

コグニサイズとは

国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みの総称を表した造語です。英語の英語のcognition (認知) とexercise (運動) を組み合わせてcognicise(コグニサイズ)と言います。Cognitionは脳に認知的な負荷がかかるような各種の認知課題が該当し、Exerciseは各種の運動課題が該当します。

認知症予防、軽度認知症の高齢者のために国立長寿医療センターが開発したものです。

介護度の高い人にもできるのか…

私の母は、要介護5、歩行・立ち上がりができないため車いすでの移動で、着替え、排泄はなどはお手伝いが必要です。
認知機能は、物忘れ(記憶障害)、集中力の低下(注意障害)、目的をもって計画を立て物事を実行する(実行機能障害)ことができません。

その母に私が毎日行っているコグニサイズは…
立ち上がりを手伝い、立ったまま(運動
20まで一緒に数を数え、1つだけ計算問題を解いてもらう(脳活性)です。

その人にあった脳活と運動を組み合わせるだけでもコグニサイズ

認知機能や日常生活動作や麻痺などで、脳活性や運動の内容が違ってくると思います。
脳活性は、計算やテスト問題でなくても良いと思います。
計算問題を解けない認知機能の方もいらっしゃると思います。

脳活性化リハビリテーションの原則

  1. 快刺激が笑顔を生み意欲を高める
  2. 褒めることがやる気を生む
  3. 会話が安心を生む
  4. 役割を演じることが生きがいを生む

脳の活性化のためには、解けないような難しい問題や間違った解答を指摘して訂正することは推奨されていません。
間違った解答であっても、「正解です!」と言って褒めることで、快い刺激を与えることが望ましいとされています。
そのため、テスト問題は解答可能な内容にすることが良いでしょう。

母は一桁の足し算や掛け算を解答できることがありますが、疲れて立っている時は間違えることがあります。その際は、立ち練習を終えて座った後に問題を出すと、ほとんど正解するため、「すごいね、さすがだね」と笑って褒めるようにしています。

認知症が進んで計算問題ができない方には、運動や散歩をしながら楽しかった時の話や思い出話、歌を歌うことも効果的だと思います。
運動に集中するだけでなく、会話を通じて脳を使うことも、運動による良好な血流を利用して脳を活性化させる効果があると考えられます。

注意障害がある場合は、集中力が欠けるため、転倒しないよう配慮することが非常に重要です。

まとめ

国立長寿医療研究センターが開発したコグニサイズは、認知量と診断されていない方の認知症予防や軽度認知症の高齢者向けの体操ですが、認知症の方に合った脳活動と運動を組み合わせることで、認知症のあらゆる段階の方に適用可能な運動となります。
もしかしたらあなたは意識せずとも、家族や患者、利用者にコグニサイズを施しているかもしれません。
目的意識を持つことで、ケアの質が変わる可能性があります。
中等度から重度の認知症の方においても、症状の進行を抑えるための予防は重要です。
認知症は脳に影響を及ぼすだけでなく、身体活動にも影響します。
わざわざ張り切ってリハビリをするのではなくても、会話しながら散歩する、体を動かす、力を使う運動からでも始めると良いでしょう。


今ある能力を維持できるようコグニサイズを行ってみてはいかがですか?

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